イタリアスタディツアーコーディネーター仲西さんからの近況報告
「一昨日チレントから戻ってきました。 チレント有機地区代表エミリオさん、副代表アンナさん、
そして、有機地区の発案者でありチレント有機地区書記長、世界有機地区ネットワーク(INNER)代表を
兼任するサルバトーレさんを始め、多様な活動を展開する農業協同組合など、有意義というより
感動的な取材をすることができました。この取材は、有機地区に関する本の準備ですが、もちろん
この4日半の取材では不十分であることは痛感していますので、夏以降に時間をとって戻りたいと思います。
来月17日から5日間、ポルトガルで有機地区世界大会が開かれますが、ありがたいことに、
それに招待していただけることになりました。それで、7月8月はこの大会参加とともに
他の有機地区を2、3箇所取材したいと思っています。 グループでのチレント有機地区訪問に関しては、
全面的に協力してくださるということですが、来伊予定日を予めお知らせいただいて、
お互いに調整できるようにしましょう、と言っていただいています。」
現地コーディネーター仲西さんによるお薦めポイント
「何故チレントか?」熱烈推薦 長文ですが、これでも言葉が足りません!
プログラムの中心となっているのは、今急速に世界中に展開を見せている 「有機地区」の発祥の地、
チレント視察です。チレントはナポリを州都とするカンパー ニア州の南部、サレルノ県の最南端に
位置し、その大部分を国立公園が占めています。
この国立公園は、パエストゥムとヴェリアの古代遺跡群、パドゥーラのカルト ジオ会修道院を
含めて、ユネスコの世界遺産に指定されています。
また、ユネスコ世界ジオパークのひとつでもあり、「地中海ダイエット」の 名で知られる食文化は、
ユネスコの無形文化財に指定されています。更に、その海岸 は、イタリアで最も汚染されていない
美しい水質で知られています。これ程自然と歴史、文化の宝庫でありながら、世界的に見ても、
イタリア国内でも、地味な存在であり続けたチレントですが、近年世界的な注目を浴びるように
なりました。注目の中心は、「有機地区 Bio-Distretti または Eco-Region」。
2004年にチレントで生まれたこのシステムは、今や維持可能な社会や食物の安全性、
再生可能エネルギー、そして山間地区を中心とする村落の人口流出などの問題を、農業を軸にして
総合的に解決しようとする試みです。
この試みは、2008年まではチレント内でその内容が充実していき、2009年にカンパーニア州が
チレント有機地区を法的に認めてからカラブリア州内に第2の有機地区が発足、更に海外からの
問い合わせが舞い込むようになって、2014年末に有機地区の世界ネットワークが生まれ、その後、
爆発的な発展を遂げています。
イタリア国内の有機地区は現在32を数え、8地区が準備中となっています。イタリア以外の
国では、ドイツ、フランス、ポルトガル、スイス、スペインなどのヨーロッパ以外に、カナダも
加わり、承認された有機地区は11カ国18有機地区に上り、準備中多数となっています。
昨年、FAOにより、維持可能な社会実現のための有効な実践例と認められ、今年7月に
ポルトガルで行われたFAO主催の国際フォーラムに招かれ、併せて有機地区世界ネットワークの
第1回会議も開催されています。
有機地区では、有機農業と加工関係者と関連諸団体(社会的農業を含む)、公共団体
(コムーネ、県、州、国など)、消費者、観光などの地域企業などが同等の立場で協力し合い
ながら、地区の健全な発展に寄与することが求められていま す。
有機地区視察は、有機地区の生みの親、育ての親であるサルバトーレ・バジーレ氏
(チレント有機地区書記長、有機地区世界ネットワーク会長、カンパーニア州AIAB副会長)、
エミリオ・ブオノモ氏(チレント有機地区会長、有機地区世界ネットワーク役員)、
アンナ・二グロ氏(チレント有機地区副会長、有機地区世界ネットワーク役員、
アグリツリズモ「アンナ・デイ・サポーリ」経営)のブリーフィングを主体に、
チレント有機地区の活動や、チレントの文化などを紹介していきたいと思います。
宿泊するのは、イタリア最大の環境保護団体であるレーガンビエンテが主催する
環境に優しい活動の最優秀賞を受けたアグリツリズモ La Petrosa。乳牛、ヤギ、鶏の飼育、
オリーブ栽培、古代麦栽培を中心として、チーズや古代麦のパンを作っています。
その他、Pioppi にある地中海ダイエット博物館では、地中海ダイエットの研究者であった
Ansel Keysの寄贈図書や、チレントの食文化などが紹介されています。
博物館の1回は、チレント海岸部の生物の小水族館となっていて、直接生物に触れる水槽も
あります。
ヌオーヴォ・チレント協同組合では、前組合代表であり、現在サン・マウロ・チレントの
村長を務めるジュゼッペ・チレント氏から、組合の活動や在来種の保存などについて
お話ししていただく予定。この協同組合が経営するレストランでは、小ぶりの石臼で古代麦を
挽き、その小麦粉でパンやピザを作っています。
その他、学校視察やチレント有機地区に加盟しているコムーネ(現在38のコムーネが参加)
視察、そして、観光が環境破壊につながらない工夫を凝らした「エコ・ツーリズモ」
「エコ・スピアッジャ」視察を予定しています。
先に「チレントは地味」と書きましたが、要するに、チレントは国立公園の指定を受け、
さらにユネスコの世界遺産となる活動を通して環境を守ることを大切にした結果、農業/畜産と
観光以外の産業は皆無に等しく、全部で95のコムーネの内、人口1万を超えるコムーネは
3つだけの「貧しい地方」とされています。
同じサレルノ県でもナポリ寄りの大観光地(ユネスコの世界遺産でもある)アマルフィ海岸の
華やかさとは対照的と言えるでしょう。その「貧しいチレント」が発信した「有機地区」が
爆発的に増加しているということは、経済中心主義(拝金主義)やそれに基づくグローバル化が
もたらした現代の生きにくさの反映であり、詰まる所「人の幸せとは何か」を考えさせて
くれると思います。
チレント視察の後はローマに戻り、シモーナ・リメンターニ氏が経営する有機食品の宅配を
視察します。実は、シモーナさんの宅配業と日本とは、深い関 わりがあります。私が彼女と
知り合ったのは2003年、ピエモンテ州のカシーナ・コルナーレ(現アグリスペーザ)を
訪問した時です。2001年から2003年に かけて、日本の宅配業者のグループ数社のピエモンテ州
視察をオーガナイズし た折、協同組合のカシーナ・コルナーレを訪問、意見交換した時に、
カシーナ・コルナーレも宅配便を始めてはどうかという日本側からの提案がありました。
その後、カシーナ・コルナーレの代表が来日、日本の宅配システムを視察した後すぐに宅配便を
開始しています。シモーナさんはその頃カシーナ・コルナーレで仕事を始め、その後2007年に
故郷のローマに戻ってから翌年 Zolle(ゾッレ)をスタートしています。更に車両のガソリンに
よる汚染を如 何に減少させるかを追求した結果、3台のバンと12台の特注自転車を
組み合わせて配達するようになりました。また、金曜の夕方と土曜の午前中は、Zolleは直売店に
変身します。その宅配の工程の視察に併せて、Zolleの商品で軽めの昼食を準備していただく予定です。
夕方は直売店も視察しますが、Zolle以外ではなかなか手に入らない商品も数多く、ショッピングも
楽しんでいただけるかと思います。
■旅行期間:2019年10月27日(日)~11月3日(日) 8日間
■チラシダウンロード ⇒ イタリア秋チラシ4P0906
■現地参加費用:お1人 290,000円(航空券は含まれておりません)
*料金に含まれているもの:宿泊代(2名1室)、視察、食費(朝6、昼3、夕1)など
日程表記載の内容。(海外航空運賃は含まれておりません。)
*料金に含まれていないもの:航空運賃、航空諸税、海外旅行保険、チップ、飲み物他個人的費用他、
日程表記載外の内容。
(1人部屋をご希望の場合は追加料金は 66,000円となります。)
※海外航空券の手配はご希望により承ります。2019年8月7日現在、日程表に記載のAFは約 18 万円(航空券、
燃油SC、航空税等)で購入できますが、購入時期が遅くなると高くなる場合もあります。ご自身で手配され
他社便利用の場合は別途お知らせください。現地集合、解散の際の確実な手配の調整をさせていただきます。
■定員:15名 (最小催行人員:10名) 現地コーディネーターと旅程管理者がご案内
■利用航空会社(予定):アリタリア航空(AZ) エコノミークラス
■利用ホテル(予定):hotelsancarloroma/ローマ 、オーガニックアグリツーリズモ/チレント
■協力:一般社団法人 オーガニックフォーラム ジャパン/一般社団法人 フードトラストプロジェクト
■旅行企画・実施:株式会社 旅倶楽部
■受託販売・現地プログラム運営: 有限会社リボーン<エコツーリズム・ネットワーク>