持続可能な社会のモデル国家 スウェーデンに学ぶ

レポート2008/11/28

久しぶりに(15年以上)スウェーデンを訪ねた。以前は、白夜の観光シーズンを満喫する北欧4カ国周遊ツアー・・・といったコテコテの観光ツアーの添乗員としてだったが、今回は「スウェーデンCSRスタディーツアー」を企画し同行した。短い夏の観光シーズンらしい、爽快感の漂う美しい景色は変わらなかったが、どこか違うところを感じた。過ぎ去った年月の間に何が変わったのだろうと帰国後 振り返った。

社会保障が充実し、医療費がかからない。教育制度が充実し、高等教育を自由に受けられる。環境保護政策が徹底し、快適な生活環境を維持できる。等々、持続可能な社会のモデルとして注目されるこの国に弱点はないのか?いいことだけを見ていては学ぶ成果が上がらないと思っている自分としては、いくつかのアンチテーゼを出しながらスケジュールを進行した。

ホテル、航空機、エネルギー、食品(ファーストフード)、インテリアなどのスウェーデンを代表する企業や、NGO、官庁(日本の文部科学省)などを訪問し、CSR(企業の社会的責任)やESD(持続可能な開発のための教育)の担当者から直接説明を受けた。参考になる内容であったことは言うまでもないが、内容以上に印象に残ったのは、それぞれの担当者が手馴れていたこと、そして、全体のコーディネートをした組織が企業、官庁、NGOなどを柔軟に繋ぎ合わせ、世界各国からの視察の受け入れだけではなく、逆に招聘されることも多いということだ。最近はスウェーデンモデル(ソフト)を各国に輸出しているようだ。

しかし、いいことばかりではなかった。至れり尽せりの社会保障のつけは、異常に高い物価に反映されていた。夕食代約5,000円、ホテル代約20,000円は高い税金のせいだ。ミネラルウォーター500ccボトルが300円で売っていたが、日常生活のための物価は、日本はもちろん、EU諸国と比較しても高い。高い税金を払わされている国民は愚痴っぽくならないかな?と下世話な興味で聞いてみたら、恥をかいた。政治に関心の高い国民は単なる働き蜂ではなく、物を言う誇りを持った有権者だった。国政選挙の投票率は80%を超え、政治家の明確な国民への説明は常識だった。誇りを持った国民が住む国「スウェーデン」は持続可能な社会のモデルの一つといえるのだろう。

ツアー最終日に参加者数名が偶然美味しいランチに出会えたらしい。そのレストランがかの有名なノーベル賞受賞式の晩餐会の会場だったとか。ガイドブックにいつも紹介されるが、同じメニューの夕食を注文すると数万円で、予約も難しい。しかし、ランチでも充分 そこの上質な雰囲気と味が楽しめるようだ。物価の高い割に、リーズナブルな値段で。誇りを持ったライフスタイルを世界に紹介しているスウェーデンの世界戦略の中のサービスランチにも思えてくる。残念ながらそのランチには同席できなかったが、1,000円以内で食べることができたイケヤ本店のミートボールランチ同様、読者にお薦めしたい。

エコツーリズム・プロデューサー   壱岐健一郎