2年前の2月、開校直前のトヨタ白川郷自然学校に行ってきました。
日本を代表する旅行会社各社の教育旅行、自然体験ツアー担当者総勢25名のコーディネーターとしての旅でした。かって平家の落人が暮らしたといわれる合掌集落は一面の銀世界。
ライトアップされる日には大勢の観光客が訪れます。そんな賑わいもトンネルを一つくぐりぬけた自然学校に着くと嘘のような静寂が待っていました。「日本一美しい村」を目指している白川村に「日本一の自然学校」をつくることが目標とのことでした。
校長はモノづくりの達人でオークビレッジ代表・作家の稲本正さん(現在は2代目西田校長)。172ヘクタールの広大な敷地に合掌造りの外観を思わせながらも近代的な建物の中には、オークビレッジのこだわりの家具が随所に配置されています。天然温泉は巨大なヒノキ風呂と雪の中の露天風呂で楽しむことができます。レストランは有機野菜などの素材を選び抜いたフレンチ。これは従来の「自然学校」という名称からは想像できないものかもしれません。しかし、だからこそ、ゆっくり自然を感じることができるのかな・・・と納得してしまいました。
そして、立派な施設に感心した後、旅作りのプロの皆さんの関心は価格へと偏っていったのは自然の摂理かもしれません。なかなか一般的には売りにくい・・・などとの言葉も漏れ聞きました。だから一般的な売り方ではなく、その価値が解るような提案をすることが大切ですよと説教じみて言い始めていた自分はすでにそこの魅力にはまり込んでいたのかもしれません。ハードだけではなく、各種の体験プログラムなどのソフトが、積極的に楽しもうという人種には高ポイントをつけさせることでしょう。国際会議にも利用できるようなセミナーハウスでは高性能の映像機材を駆使し、自然の中での原体験を再生しながら、振り返りの時間をもつこともできます。これは感動を反芻するのに効果的です。
あれから約2年の歳月が流れ、白川郷には環境教育を目的としたツアーも増えてきました。そして、この冬は、国土交通省「ニューツーリズム創出・流通促進事業」として、特定非営利活動法人白川郷自然共生フォーラムが企画した「冬の白川郷まるごと体験エコツアー」が誕生しました。1泊目はこの最新の施設。2泊目は白川村に古くから残る合掌民宿への宿泊で、田舎味噌づくりやわら細工などの雪国の暮らしを体験できます。雪の中の花火も幻想的なアトラクションとして用意されています。スウェーデン人講師も同行して、ライフスタイルを語り合う貴重な機会が生まれることでしょう。
エコツーリズム・プロデューサー
壱岐健一郎