都市と農山村交流レポート~2008年10月シブヤ大学ツーリズム09より

レポート2009/01/26

「え、こんなに枯れてるの・・・」群馬県富士見村にある、「国立赤城青少年交流の家」の松林の立ち枯れの様子に、ショックを受けました。NPO法人シブヤ大学とリボーンの共同企画で開催している一泊二日の講座では、松枯れ林地の再生作業に参加します。酸性雨などが原因で弱った黒松が枯れ・倒れていく森で、私たちができる活動をします。どんぐりの木の苗を植えたり、炭を砕いて散布したり(土壌を中和して健全な状態にする効能がある)、近年に植えられた木の周りの下草を刈ったりして、参加者は森の保全作業に汗を流しました。

 

 赤城山は利根川の源流の一つです。首都圏の水源地の森が、大変痛んでいること。その一因が都市の大気汚染によるということ。地元の林業組合や環境活動家、元大学教授などが森の保全のための様々な地道な活動をされていること。それらの人々と少しでも共に活動して実感すること。たった半日の活動でも、都市に住む私たちには従来見えなかった、大切なことが、このツアーで見えてきます。

この日には、地元の方々の奮闘、活動の積み重ねを知って敬意を抱くのと同時に、みんなで作業をすること・自然に向き合うことの単純な楽しさも、味わうことができました。「炭を砕く作業で、みんな顔にも炭がついて黒くなっていくのが面白かった」「黙々と草刈りすることが、仕事のストレス発散になった」「植えた木が10年後にどう育っているか楽しみ」などと、参加者の感想の言葉もいろいろ出てきます。様々な参加者が集まるツアーでは、他の参加者の視点や感想の違いを知ることも、興味深い経験です。また、地元の方々にとっては、都市の青年がその土地に興味をもってくれること、土地の役にたつ活動をしてくれることが、喜びにつながるようです。

 

上下流域交流・都市-山村交流とは、実践的な地元講師陣と熱心な参加者が自然の中で協働しあい、エコ活動と旅の楽しさの相乗効果をうみだすツアーだと思います。赤城の山でみんなで植えたコナラの木々がどう育つのか・・・今後定期的に訪れたい土地が増えました。

吉永初美